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不妊治療に対するニーズというものは高くなっております。
晩婚化などに伴いまして、体外受精などの生殖補助医療を含む不妊治療を受けるという方がおられます。
保険適用になるなど、全国的にも治療をされる環境というものは進みつつありますが、やはり安心して不妊治療などを受けられる環境づくりを推進していくということが大事であるというふうに考えております。
基本理念や関係者の役割などを定めた条例を今回定めさせていただきまして、これがすでにスタートしていますが、令和7年7月1日から施行になりましたので、そのポイントを含めましてお知らせをいたしたいというふうに思っております。
今回は、不妊治療に加えまして、プレコンセプションケア、そして大変当事者の方にとっては大事なポイントである、仕事と治療の両立を体系的に支援、そして取り組んでいくということが、条例の内容でございまして、そういった不妊治療の支援などに特化した条例というものは全国で初めてということになります。
不妊症に関する支援の、やはり県内での機運を高めていくということが大事ですので、資料にありますとおり、兵庫県として4つの基本理念を提示させていただいております。
例えば、事業者においては、従業員からいわゆる働いておられる方が仕事と治療の両立を図るための配慮を行っていただくということ、そして職場内における不妊治療、そして不妊症などに関する理解の浸透に努めていただくということになります。
また、県民の皆さんにはそういった知識を知っていただくということで、当事者の方などに対する理解を深めていただき、安心して不妊治療など受けられる環境づくりに理解を示していただきたいというふうに考えています。
そして、具体的な支援の内容などになってきますが、不妊治療に関する先進医療の助成事業の受け付けは6月26日から、今年度の受け付けをスタートしております。
この助成事業は不妊治療の経済的負担を軽減し、治療の選択肢を広げていくために保険適用外である先進医療に関する治療、そして県内は広くて、例えば淡路から神戸市内の三宮のクリニックに通われる方など、やはり交通費、通院に関する交通費がかかるというご指摘もありましたので、この2点を助成させていただく。
昨年度も治療費でいいますと、3000件を超える治療に関する申請助成がありましたので、やはり多くの県民の皆さんがこの不妊治療に当事者として向き合っておられるという状況があります。
今年度からは、すでにお知らせしていますけれども、兵庫県内以外の隣り合う大阪府、岡山県、鳥取県、徳島県もそうですけど、隣接する府県のクリニックを受診される場合も対象とさせていただくという形になります。
これは、勤務先が例えば大阪などの場合に、勤務後に大阪市内のクリニックなどに通われるという方もおられるということですので、そういった対象を拡大させていただいております。
もう1つが、オンライン申請を引き続き続けるということになります。
これは当事者の方からお伺いしたのですけれども、やはり市町の助成事業、県も含めてですが、紙ベースで役所に申請に行くということが必要だったために、そのために有給休暇を取得するということが必要だというふうな実情を伺いましたので、兵庫県としては、交通費医療費の助成事業というものは基本的にオンラインで申請をさせていただくということにしているというのがもう一つのポイントになります。
お問い合わせ専用ダイヤル078-362-9230を設置させていただいておりますので、ご不明な点などについては問い合わせいただきたいというふうに考えております。
それから、プレコンセプションケア、いわゆるプレコンについてもしっかりやっていくということが大事だというふうに考えます。
プレコンセプションケアは、ご承知のとおり、自らの人生の将来を考えまして健康の管理を行っていく、そのために身体のことを知っていただくということになります。
この取り組みを、ぜひ県内の高校などに授業や学外の講義、授業外の講義として実施をしていただくということを推進しています。
講師として助産師さんなどを無料で派遣させていただくということを予定しています。
昨年も確か44の県立高校など多くの学校から申請、手を挙げていただきまして、そこで授業などもさせていただきました。
今年もすでに募集をスタートしていまして、継続的にやられる高校もあれば、新たに実施されるという高校もありますので、性の知識と命の大切さ、それから自分の身体のこと、さらには妊婦さんのお腹を模した重りをつけて、男子生徒も含めて体験をしていただくということなどもやらせていただいていますので、ぜひ学校におかれましては、積極的にご相談いただきたいというふうに考えています。
それから、令和6年度の検討会の中で、企業関係者から従業員の相談に、どのように対応すればいいか、それから企業内での支援の制度設計をどのようにしていけばいいかということを相談したいという話もありました。
こうした声を受けまして、今回ひょうご仕事と生活センターにおきまして、新たに今年度、不妊治療に特化した企業支援として、社会保険労務士などの専門家と不妊治療の当事者団体であるNPO法人Fine(ファイン)などが連携して、不妊治療のための休暇制度の導入、それから職場での配慮に関してのアドバイスなどを行いたいと考えています。
企業の現状やニーズに合わせまして、助言やセミナー実施などの伴走型支援を行うということ、そして時間単位の休暇制度の導入や相談しやすい職場環境づくりなどが期待されるというものになります。
企業におきましては、中小企業が県内にも多いですから、そういった不妊治療に関する状況を知っていただくということが大事だと思いますので、企業への不妊治療の実態や仕事との両立の支援を知っていただくということをしっかりやっていきたいと考えています。
条例の施行がスタートになりますので、これを契機に不妊治療などに対する支援の充実に引き続き取り組みまして、仕事との両立、プレコンセプションケアの推進など、兵庫県で安心して不妊治療など受けられる環境を作っていくということをしっかりやっていきたいと考えております。